【証券分析4-2】平均分散アプローチ

ファイナンス理論

以前の記事で、平均分散アプローチによって、効率的なリスク資産の配分を決めることができることを紹介しました。
今回は、この平均分散アプローチをより詳しく見ていきます。

平均分散アプローチに基づく最適化問題

以前の記事では、相関の力によって、複数の資産を組み合わせるとリスクが単純な平均よりも小さくなることを見ていきました。ここでは、それをより正確に数式として記述することで、目的に応じた最適な配分を決定する方法を紹介します。
今、証券1,2,3…nが存在するとして、
証券iのリターンをri、投資比率をwi、資産i,jの共分散をσijとした場合、次の3パターンの最適化問題を考えることができます。

目標リターン型

まず最初の最適化問題は、目標リターンの水準が決まっていて、そのリターンの中で最もリスクが小さくなる各証券の投資比率を求めるという方法です。
ターゲットとするリターンをμpとすると、
これを数式化すると以下のようになります。
minimize σp=i=0nj=0nwiwjσij

subject to i=0nwiE[ri]=μpi=0nwi=1

このとき、この解は、目標リターンμpにおける最小分散ポートフォリオになっています。

目標リスク型

先ほどはリターン水準が決まっていて、その中で最もリスクの小さくなるポートフォリオを探すという最適化問題でしたが、もう一つの方法として、リスク水準を決めて、リターンを最大化するという方法があります。
目標リスク水準をσpとして以下のように書き表せます。
maximize i=0nwiE[ri]

subject to i=0nj=0nwiwjσij=σpi=0nwi=1

効用関数最大化

ここまでの2つはリスクあるいはリターンの水準が決まっている場合に最適な比率を決めるというやり方でした。最後はリスクやリターンは直接決まっていないが、リターンとリスクがいい感じにバランスの取れた状態がいいというケースについてです。
リターンはなるべく高く、リスクはなるべく低い方がいいということを考えると、以下のような式を大きくすればいいというイメージができるのではないでしょうか。
maximize E[rp]σp2

しかし、人によって、高いリスクを取ってでもリターンを得たい人と、保守的でリターンは低くてもいいけど、リスクはなるべく取りたくない人など、リスク許容度は様々です。
そこで、リスクの比率を調整する項を追加した、以下のような関数を最大化するという問題がよく用いられます。
この関数を効用関数と呼び、投資家のリスクをどのくらい嫌がるかを示すγをリスク回避度と呼びます。
maximize E[rp]γ2σp2

subject toi=0nwi=1

3資産の場合の最適化

それでは実際に具体例として、株と債券と無リスク資産という3つの資産があると仮定した場合の最適化を効用関数型での解き方を簡単に紹介します。
株、債券、無リスク資産のリターンをそれぞれ、rs,rb,rf 投資比率をそれぞれws,wb,1wswbとすると、
ポートフォリオのリターンとリスクは、
μp=wsrs+wbrb+(1wswb)rf

σp2=w12σ12+w22σ22+2ρ12σ1σ2

これを効用関数に代入して、
U=E[rp]γ2σp2=wsrs+wbrb+(1wswb)rfγ2(w12σ12+w22σ22+2ρ12σ1σ2)

効用関数を最大化する比率は変数であるws,wb それぞれで偏微分したときに0になることを用いて連立方程式を解けばよい。
Uws=0

Uwb=0

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