機械学習の種類
機械学習は、コンピュータがデータから学習し、パターンを見つけて意思決定を行うための技術です。機械学習は大きく 教師あり学習、教師なし学習、強化学習 の3つに分類されます。この記事ではそれぞれの学習の特徴や適用する問題を見ていきます。
1. 教師あり学習 (Supervised Learning)
教師あり学習は、「正解ラベル付きのデータ」を用いてモデルを訓練する手法です。目的は、過去のデータに基づいて新しいデータの予測を行うことです。
特徴
- データは「入力」と「正解ラベル」のペアで構成される。
- 学習後にモデルは「未知の入力」に対してラベルや数値を予測する。
具体例
- 画像認識:猫の画像と犬の画像に「猫」「犬」というラベルを付けて学習させる。新しい画像が与えられたとき、それが猫か犬かを予測する。
- 売上予測:過去の販売データ(例:月別売上、気温、広告費など)を学習し、来月の売上を予測する。
- スパムメール検出:メールの本文と「スパム/非スパム」のラベルを学習し、新しいメールがスパムかどうかを分類する。
主なアルゴリズム
- 線形回帰 (Linear Regression)
- ロジスティック回帰 (Logistic Regression)
- サポートベクターマシン (SVM)
- ニューラルネットワーク (Neural Networks)
2. 教師なし学習 (Unsupervised Learning)
教師なし学習は、「ラベルのないデータ」を使ってデータ内のパターンやグループを発見する手法です。目的は、データを構造的に理解することです。
特徴
- 正解ラベルがなく、アルゴリズムがデータのパターンを自ら見つける。
- クラスタリングや次元削減に使用される。
具体例
- 顧客のクラスタリング:購買履歴から顧客を「よく買う顧客」「たまに買う顧客」「一度だけ購入した顧客」などのグループに分ける。
- 異常検知:正常データを学習し、異常なパターン(例:不正取引やネットワークの攻撃)を検出する。
- マーケットバスケット分析:「ビールとおつまみがよく一緒に購入される」といった関連性を見つけ、レコメンドシステムに活用する。
主なアルゴリズム
- K平均法 (K-Means)
- 主成分分析 (PCA)
- 自己組織化マップ (SOM)
- 異常検知モデル (Isolation Forest)
3. 強化学習 (Reinforcement Learning)
強化学習は、エージェント(学習者)が環境からのフィードバックを受け取りながら行動を学ぶ手法です。報酬(Reward)を最大化するように試行錯誤を繰り返し、最適な戦略を学習します。
特徴
- エージェントが「行動 → 環境からのフィードバック」のサイクルを繰り返す。
- 正解ラベルはなく、報酬を通じて正しい行動を学ぶ。
具体例
- ゲームAI:囲碁や将棋のAIが、対戦相手との対局を繰り返し学ぶことで最適な手を見つける。
- 自動運転:車が「加速」「減速」「ハンドルを切る」などの行動を試行し、事故を避けながら目的地にたどり着く方法を学ぶ。
- ロボット制御:ロボットが障害物を避けながら目標地点に移動する最適なルートを学習する。
主なアルゴリズム
- Q学習 (Q-Learning)
- 深層Qネットワーク (DQN)
- モンテカルロ法 (Monte Carlo Methods)
- サポリティクス (Policy Gradient Methods)
まとめ
機械学習には、目的やデータの形式に応じて教師あり学習、教師なし学習、強化学習という3つの大きな種類があります。それぞれの手法には得意な分野があり、具体例を通じて理解すると違いが見えやすくなります。例えば、売上予測には「教師あり学習」、顧客の分類には「教師なし学習」、ゲームの攻略には「強化学習」が効果的です。