PDC今回はポートフォリオのパフォーマンスを評価する際に、一般的に用いられる評価指標について紹介していきたいと思います。
パフォーマンスを評価する際には、単純なリターンを見るだけではなく、そのリターンを得るためにどのくらいのリスクが発生したのかが重要になります。
そこで今回はリスク調整後のパフォーマンスを測るための様々な仕様を紹介していきます。
シャープレシオ
シャープレシオ(Sharpe Ratio)は、ポートフォリオのリスクに対する超過リターンを測定する指標です。この指標は、投資のリスクを考慮し、リターンの質を評価します。高いシャープレシオは、リスクに対して効率的にリターンを得ていることを示しています。
– : ポートフォリオのリターン
– : 無リスク金利
– : ポートフォリオのリスク(標準偏差)
例えば、ポートフォリオの年間リターンが10%、無リスク金利が2%、ポートフォリオの標準偏差が8%の場合、
となります。
インフォメーションレシオ
インフォメーションレシオ(Information Ratio)は、アクティブ運用による超過リターンの効率性を評価する指標です。シャープレシオと同じ考え方を、ベンチマークとの相対的なものに置き換えたイメージです。
– : ポートフォリオのリターン
– : ベンチマークのリターン
– : トラッキングエラー
トラッキングエラーについては、リスクの計算方法でも見ましたが、超過リターンの標準偏差になります。
例えば、ポートフォリオの年間リターンが12%、ベンチマークのリターンが8%、 トラッキングエラーが6%の場合、
トレーナーレシオ
トレーナーレシオ(Treynor Ratio)は、ポートフォリオのベータに対する超過リターンを測定する指標です。
この指標の前提にはCAPMの考え方があり、ベータが高いほど、高いリターンが得られるので、リターンの大きさを評価するためにはベータで調整を行うべきということを示しています。
– : ポートフォリオのリターン
– : 無リスク金利
– : ポートフォリオのベータ
ポートフォリオの年間リターンが15%、無リスク金利が3%、ポートフォリオのベータが1.5の場合、
ジェンセンのアルファ
ジェンセンのアルファ(Jensen’s Alpha)は、ポートフォリオのリターンのうち、市場ポートフォリオに連動する部分では表せない超過的なリターンを評価する指標です。この指標は、資本資産価格モデル(CAPM)に基づき、期待されるリターンと実際のリターンの差から求めます。
イメージとしては、そのポートフォリオのβがわかれば、CAPM通りなら、市場リターンのβ倍のリターンが得られるはずなので、そこから超過した部分がアルファということになります。
– : ポートフォリオのリターン
– : 無リスク金利
– : ポートフォリオのベータ
– : 市場のリターン
ポートフォリオの年間リターンが18%、無リスク金利が2%、ポートフォリオのベータが1.2、市場のリターンが10%の場合、
ソルティノレシオ
ソルティノレシオ(Sortino Ratio)は、シャープレシオの改良版で、リスクを全体の標準偏差ではなくダウンサイドリスクのみで測定します。この指標は、ネガティブな変動に対するリターンの効率性を示します。
ヘッジファンドの投資評価によく使用されます。
– : ポートフォリオのリターン
– : 無リスク金利
– : ダウンサイドリスク
ポートフォリオの年間リターンが14%、無リスク金利が2%、ダウンサイドリスクが5%の場合、
最大ドローダウン
最大ドローダウン(Maximum Drawdown)は、
資産の価値が最大の部分から最も大きく減少した谷までの下落率を示す指標です。この指標は、投資家が経験する可能性のある最悪の損失を評価します。
ポートフォリオの価値が1000万円から800万円に減少した場合、
これらの指標を用いることで、ポートフォリオのパフォーマンスをより総合的に評価することができます。リスクとリターンのバランスを見極め、投資戦略の有効性を判断する際はこれらの指標を比較してみることも重要です。